さいたま市中央区・住宅街の巨木攻略Day9|重機2台の共演で抜根10本を完遂!現場を「材」に変える職人の段取り
- いつきスタッフ

- 2 日前
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①作業前
2026年4月24日、金曜日。さいたま市中央区の現場は、いよいよ9日目という大詰めを迎えた。空は突き抜けるような晴天。絶好の作業日和だが、目の前に広がる光景は壮絶そのものだ。これまで切り進めてきた巨木たちの枝葉や幹が、広大な敷地を埋め尽くしている。
今日の布陣は4人。住宅街という立地条件を考えれば、近隣への配慮は一刻の猶予も許されない。音出し作業は8時を過ぎるまで厳禁だ。重機のエンジンを暖めながら、まずはこの山となった枝葉と幹をどう効率よく「材」として集積し、搬出へと繋げるか。全員で今日の動線を最終確認する。
25m級の広葉樹を相手にしてきたこの現場も、今日は抜根10本という地中の闘いが控えている。敷地をまっさらな更地へと戻すための、重要でタフな一日の始まり。チェーンソー2台の刃は研ぎ澄まされ、コンマ0.25と0.45の重機たちも、その爪を静かに光らせて出番を待っていた。

②コンマ0.25スケルトンで抜根作業
周囲を作業スペースとして確保した後、いよいよ地中の闘いが始まる。主役はコンマ0.25のスケルトンだ。地表に出ている切り株は、氷山の一角に過ぎない。その下には、何十年もの歳月をかけて四方八方に張り巡らされた、強固な根のネットワークが広がっている。
まずは切り株の周囲を慎重に掘り下げ、根の広がりを確認する。不用意に引っ張れば、地中の埋設物を傷つける恐れもある住宅街の現場だ。爪を土に食い込ませ、根を一本ずつ剥き出しにしていく。スケルトンバケットの特性を活かし、土を振り落としながら、純粋に「根」だけを浮き上がらせる。
この緻密な操作こそが、抜根の肝だ。大きな切り株をユンボの力で揺さぶると、地面がズズズと鳴り、土の塊が大きく盛り上がる。巨大な根がその全貌を現した瞬間、現場には土の香りと共に、一つの命を完全に仕留めたという、伐採職人特有の安堵感が漂う。合計10本の抜根、その一歩目は着実に、そして力強く踏み出された。


③玉切り作業
抜根作業と並行して、地上では「材」を作るための玉切りが急ピッチで進む。相手はこれまで幾度となく刃を跳ね返してきた広葉樹の主幹だ。25mもの高さを支えてきたその胴回りは、横たわった状態で見ても圧倒的な威圧感を放っている。
チェーンソーのエンジン音が住宅街に響き渡る。音出し制限解除の8時を過ぎてからは、一刻の猶予もない。ガイドバーを慎重に材へと潜り込ませると、凄まじい量のおが屑が噴き出した。広葉樹特有の粘りと硬さは、並大抵の機械では太刀打ちできないが、日々の「目立て」で研ぎ澄まされた刃なら話は別だ。材の重みで刃が挟まれないよう、重力によるテンションを読みながら、吸い込まれるように切り進めていく。
「パキッ」という乾いた音と共に、巨大な丸太が次々と切り離されていく光景は、まさにこれまでの作業の集大成だ。ただ闇雲に切るのではない。後工程の搬出効率を最大化させるため、ダンプの積載サイズや運搬経路を逆算した正確な寸法で切り揃えていく。
足元に積み上がる「材」の山。かつて空を支配していた巨木が、職人の手によって機能的な資源へと姿を変えていく。この瞬間こそ、伐採職人としての「技」が最も濃密に凝縮される時間だ。

④大型枝搬出作業
玉切りと並行して、現場を占拠していた膨大な枝葉の搬出を開始した。今回投入したのは、ヒアブ(クレーン付トラック)を搭載した大型車両だ。住宅街の狭い路肩に、ミリ単位の精度で巨体を据え付ける。この設置作業一つとっても、近隣車両の通行を妨げないための高度な状況判断が求められる。
クレーンのグラップルが、山となった枝葉を豪快に掴み上げては、広大な荷台へと放り込んでいく。人力では到底太刀打ちできないスピードとパワー。だが、ただ積み込めばいいというわけではない。暴れる枝を巧みに捌き、荷台の隅々まで隙間なく充填していく。この「積み込みの妙」こそが、一度の運搬量を最大化させ、現場の早期解放へと繋がるのだ。
大型車の荷台が枝葉で埋まっていくにつれ、足元を覆っていた緑の絨毯が剥がれ、本来の土の色が露わになってくる。この視界が開けていく瞬間こそ、片付け作業における最大の爽快感だ。搬出班と地上班の息の合った連携により、現場の動線は劇的に改善された。次なる「幹の集積」に向けた舞台は、完璧に整ったといえる。


⑤幹集積作業
大型車両への枝搬出が進み、足元がクリアになったところで、いよいよ「材」の整理に着手する。玉切りされた広葉樹の主幹たちは、一つひとつが凄まじい重量感だ。これを人力で捌くのは非現実的だが、ユンボのグラップルを操れば話は別だ。
ユンボの爪で材を優しく、かつ確実に捉え、搬出ルートに沿って整然と並べていく。この集積作業は、単に材を一箇所に固めるのが目的ではない。次にやってくる大型トラックやダンプが、最も効率よく、最短時間で積み込めるように「向き」と「高さ」を完璧に揃えるのがプロの段取りだ。
太い材を下に敷いて土台を安定させ、その上に同程度の太さの材を重ねる。一見、無造作に積み上がっているように見えるかもしれないが、ここには積み込み時の荷崩れを防ぎ、積載効率を最大化させるための計算が働いている。
「後工程を楽にさせるのが、今の俺たちの仕事だ」
現場を統括する者の視点は、常に数手先を見据えている。積み上がった幹の山は、さながら現場に現れた「材の要塞」だ。住宅街の密集地という限られたスペースを最大限に活用し、無駄のない集積を完遂した。この整然とした光景こそが、安全管理と効率を両立させている証である。

⑥根っこ集積作業
幹の整理が終わる頃には、地中から引きずり出された「根っこ」たちが現場の主役に躍り出る。切り株の姿をしていた頃とは比較にならないその巨大な塊を、ユンボを操って一箇所に集約していく作業だ。
地中に深く、広く、網目状に張り巡らされていた根は、土を噛み込み、凄まじい重量となっている。これをスケルトンバケットで丁寧に揺すり、余計な土を落としながら積み上げていく。ただの木片ではない、命を支えてきた根特有の荒々しい曲線が重なり合い、現場には茶褐色の巨大な「根の壁」が出現した。
「ここまでの根を仕留めるのは、やはり重機の力が不可欠だ」
住宅街という限られたスペースの中で、搬出用の大型車両が動き回れる動線を確保しつつ、この膨大な量の根を集積するには緻密な計算が必要だ。崩れないよう重心を見極め、テトリスのように隙間を埋めて積み上げる。25m級の巨木を支え続けてきた根の生命力を、重機のパワーでねじ伏せ、次なる工程へと繋げる準備を整えた。

⑦幹集積状況
搬出作業が中盤に差し掛かる頃、現場には圧倒的な存在感を放つ「幹の要塞」がその全貌を現した。3トンダンプでのピストン輸送、さらには後日の大型車両による一括搬出を完璧にこなすため、ただ材を積み上げるのではなく、極めて機能的に「整列」させているのが今回の集積の要だ。
地表を埋め尽くさんばかりの太い幹を土台として据え、その上に同程度の長さで切り揃えた材を緻密に積み重ねていく。この妥協のない集積作業こそが、現場の美観を劇的に向上させるだけでなく、積み込み時の作業時間を大幅に短縮させる決定打となる。かつて25mの高さからこの空を支配していた広葉樹たちは、今や熟練の職人の手によって、次の命(資源)へと繋がるための完璧な「出番待ち」の状態へと整えられた。整然と並ぶ材の列は、ここまでの8日間の激闘の証であり、最終的な完工に向けた揺るぎない自信の表れでもある。

⑧コンマ0.25スケルトンで抜根作業(2回目)
現場がクリアになるにつれ、地中に隠されていた「真の難所」が次々と姿を現す。再びコンマ0.25スケルトンが咆哮を上げ、巨大な切り株の深層部へと爪を立てる。抜根10本という数字は、決して容易なものではない。一見、地表では静止しているように見える根も、重機で揺さぶればその巨大なネットワークが地層を掴んで離さないのが分かる。
住宅街という限られた敷地内では、周囲の家屋への振動にも細心の注意が必要だ。強引に引き抜くのではなく、周囲を丹念に掘り下げ、根の「急所」を見極める。スケルトンバケットを器用に操り、絡みついた土をふるい落としながら、純粋な根の塊だけを抽出していく。
写真に収められた、土を噛み込んだまま宙を舞う巨大な根の姿が、この作業の過酷さを物語っている。一つ抜くたびに、地表には巨大な穴が開く。それをただ埋めるのではなく、周囲の土質を考慮しながら整地していくことも、我々が「株式会社 樹」として譲れないこだわりの一つだ。
現場の平定まで、あと少し。重機のレバーを握る指先には、確かな手応えと、完工に向けた心地よい緊張感が宿っている。

⑨コンマ0.45シングルリッパーで抜根作業
抜根作業が佳境に入る中、ついに「切り札」を投入する。コンマ0.45の重機に換装された、一点突破の破壊力を誇るシングルリッパーだ。コンマ0.25スケルトンでは刃が立たないような、地中深く、岩盤のように硬い土層に食い込んだ巨根。そいつを仕留めるには、この圧倒的な貫通力が必要だった。
リッパーの一撃が地表を突き破り、深層へと潜り込む。操作ミス一つで埋設物を破壊しかねない緊迫感の中、レバーを握る手に神経を集中させる。根の「急所」を捉え、重機のパワーを一点に集約して引き上げた瞬間、ズズズと地響きを立てて巨大な切り株がその自由を奪われた。
背後には、すでに整然と積み上げられた「材」の山が見える。その静かな光景とは対照的に、リッパーが土を跳ね上げ、根を断ち切る音は、この現場を更地へと還すための職人の咆哮そのものだ。10本目の抜根が完了に近づくにつれ、地表には再び平穏な風が吹き抜け始めた。力と精密さの融合。これこそが、私たちが誇る重機ワークの真髄である。

⑩幹集積状況
抜根作業を終え、現場の表情が刻々と変わっていく。夕刻が近づくにつれ、現場には圧倒的な存在感を放つ「幹の要塞」が完成。3トンダンプでの搬出、さらには後日の大型車両による運び出しを想定し、ただ積み上げるのではなく、機能的に「整列」させているのが今回の最大のポイント。
太い幹を土台として安定させ、その上に同程度の長さの材を積み重ねる。この緻密な集積作業こそが、現場の美観を保つだけでなく、積込時の作業時間を大幅に短縮させる決定打になるわ。かつて25mもの高さで空を支配していた広葉樹たちは、今や職人の手によって、次の命(材)へと繋がるための完璧な「出番待ち」の状態へと整えられた。
地表を埋め尽くしていた枝葉が消え、代わりに現れたのは整然と並ぶ資源の山。住宅街の密集地でありながら、動線を一切殺さずにこれだけの材をまとめ上げる。これこそが、私たちが守り続けている現場の流儀。




⑪作業後
全ての作業が終わり、重機のエンジンを止める。さっきまで鳴り響いていたチェーンソーの轟音も、リッパーが地層を砕く振動も消え、住宅街には元の静寂が戻ってきた。そこにあるのは、空を覆い隠していた巨木たちの影ではなく、夕暮れ時の淡い光が優しく降り注ぐ、まっさらな更地だ。
掘り起こされた土を重機のキャタピラで踏み固め、現場を平らに整地する。この最後の「地均し」こそが、近隣の方々や施主様に対する私たちの誠意そのものだ。9日前、足を踏み入れた時のあの圧倒的な圧迫感は、もうどこにもない。視界を遮るものは消え、住宅街の向こう側まで見通せるようになった光景は、何度経験しても胸に迫るものがある。
10本の抜根、そして25m級の主幹攻略。4人の連携が一度も乱れることなく、最後まで安全を貫き通した達成感が、心地よい疲労と共に体に染み渡る。広葉樹が命を繋いでいたこの場所が、今日からまた新しい歴史を刻み始める。私たちは道具を積み込み、静まり返った更地を後にした。この更地こそが、私たちが株式会社 樹として残した、何よりの仕事の証である。

記入者: 株式会社 樹
現場: 埼玉県さいたま市中央区
人員: 4人 完了日: 2026年04月24日
成果: 住宅街における25m級広葉樹の伐採・抜根(10本)および、幹・枝葉の大型車両による搬出、整地作業の完遂。



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