さいたま市中央区・巨木攻略Day2|重機ユンボ投入!25mの空中戦で起きた緊迫のヒヤリハット
- いつきスタッフ

- 11 時間前
- 読了時間: 8分
①作業前
2026年4月16日。さいたま市中央区の現場は2日目を迎えた。 昨日は2人の少数精鋭による「ロープワーク主体の空中戦」を展開したが、今日からはさらにギアを一段上げる。本日の布陣は3人。そして、現場には力強い助っ人、コンマ0.45クラスの大型ユンボが運び込まれた。
朝日を浴びてそびえ立つのは、昨日から引き続き攻略中の樹高25m級の広葉樹たちだ。1日目でかなり枝を落とし、見通しは良くなったものの、まだ巨大な主幹と広大な枝葉が空を覆っている。今日のミッションは、残る5本の広葉樹の枝落としと、それら全ての伐倒・集積だ。
「今日は重機がある。だが、その分動線が複雑になるぞ。常に互いの位置を確認しろ」。 リーダーの声に緊張が走る。重機の圧倒的なパワーは効率を爆発的に高めるが、一歩間違えれば重大な事故に繋がる。特にここは住宅地。国道も近く、狭い敷地内での重機操作はミリ単位の正確さが求められる。
8時の音出し制限が解除されるのを待ちながら、3人はユンボの動作確認と、登攀ギアの最終チェックを行う。雲ひとつない快晴。作業条件は最高だ。しかし、25mの梢(こずえ)では地上とは違う風が吹いている。昨日の手応えを胸に、さらに激しさを増すであろう「重機×人力」のハイブリッドな2日目が、静かに、しかし熱く動き出した。

②高所伐採作業
本日の高所伐採は、25mの広葉樹5本を対象とした非常にハードなものとなった。昨日同様、私はメインロープを支点に樹上へと登っていく。17mの高さを超えたあたりで、眼下にはさいたま市の街並みがミニチュアのように広がるが、景色を楽しんでいる余裕はない。本日の私の任務は、大型ユンボのリーチが届かない梢(こずえ)の枝を、一本ずつ確実に落としていくことだ。
しかし、この「25mの空中戦」で、背筋が凍るような瞬間が訪れた。
それは、北側に張り出した大きな枝を切り離した時のことだ。計算上、枝は真っ直ぐ下に落ちるはずだった。しかし、切り離した瞬間に予想外の「跳ね」が生じ、巨大な枝が私のいる方向へとしなってきたのだ。
「危ない!」
地上の相棒の叫び声とほぼ同時に、私は幹を蹴って体を横に投げ出した。数センチ横を、重量感のある枝が唸りを上げて通り過ぎていく。命綱であるサドルとロープに救われたが、まさに九死に一生を得るヒヤリハットだった。25mという極限状態では、樹木特有の「粘り」や「重力」が牙を剥くことがある。
動悸を抑えながら、深く呼吸を整える。プロとして、この恐怖を「教訓」に変えなければならない。すぐに地上の3人とインカムで状況を共有し、切り方の角度とロープのテンションを再調整した。
この一件で、現場の空気はさらに引き締まった。自然を相手にする以上、「絶対」はない。私たちは再びチェーンソーを握り直し、一分の隙もない集中力で、難攻不落の広葉樹たちへと挑み続けた。




③重機使用集積作業
空中戦での張り詰めた緊張感を地上へと繋ぎ、現場の効率を爆発的に引き上げるのが「コンマ0.45ユンボ」の圧倒的なパワーだ。昨日までは人力と軽バンを駆使した緻密な作業が中心だったが、2日目の今日はこの大型重機が縦横無尽に躍動する。
高所からリギング(吊り切り)で降ろされた巨大な枝や、伐倒された広葉樹の幹。それらを一つひとつ人力で運んでいては、いくら時間があっても足りない。そこで登場するのが、先端に強力なグラップル(掴み機)を装着したユンボだ。オペレーターの繊細なレバー操作により、数人がかりでも動かせないような重量材をガッチリと捉え、まるでマッチ棒を扱うかのように軽々と集積場所へと運んでいく。
今回の現場は住宅地。重機の旋回一つとっても、周囲のフェンスや残すべき樹木への接触は絶対に許されない。地上の作業員とユンボが「阿吽の呼吸」で連携し、重機が材を掴む瞬間に合わせて足元を清掃し、次の運搬ルートを確保する。
「よし、一気に片付けるぞ!」
エンジン音が轟く中、山のようだった枝葉がみるみるうちに整理され、積み上げられていく。コンマ0.45というクラスならではのリーチと保持力が、広大な敷地を「管理された作業場」へと塗り替えていく。この重機の機動力こそが、25m級の巨木群を相手にしながら「2日目にして大勢を決する」という驚異的なスピード感を生み出す原動力なのだ。


④玉切り枝払い作業
ユンボが材を運び出す傍らで、地上班は一刻の猶予もなくチェーンソーを振るい続ける。ここで行われる「玉切り(たまぎり)」と「枝払い」は、現場の循環を止めないための生命線だ。
25m級の広葉樹から降ろされた枝は、一本一本が複雑に曲がり、重なり合っている。これをユンボの爪で掴みやすく、かつ運搬効率が良いサイズに切り揃えていく。広葉樹は非常に密度が高く重量があるため、適切な位置に刃を入れなければ、自重で材が裂けたり、チェーンソーのバーを強く挟み込んでしまう。私は材にかかっているテンションを瞬時に見極め、流れるような動作で枝を捌いていく。
「おが屑の状態はいい、刃はしっかり食いついている」。
昼休みに研ぎ澄ませたチェーンソーが、カシの硬い木質をバターのように切り裂いていく。パシュッ、パシュッという小気味よい音とともに、太い幹が「玉(たま)」へと姿を変えていく。この玉切り作業によって規格化された材は、ユンボによって迷いなく集積場所へと積み上げられていく。
4人体制、そして重機の投入。この強力なバックアップがあるからこそ、私たちは目の前の「切る」作業に100%集中できる。飛び散るおが屑と、熱を帯びたエンジンの匂い。少数精鋭だった昨日とは違う、重戦車のような組織力が、広大な敷地を瞬く間に「整理された空間」へと変えていった。



⑤伐倒作業
枝を落とし終え、空に向かって真っ直ぐに伸びる巨大な「柱」となった広葉樹たち。いよいよ、2日目の現場が最も緊張感に包まれる「伐倒(ばっとう)作業」の時が来た。本日対象となるのは5本。昨日よりもさらに敷地内には重機が入り込み、作業スペースは限られている。17号線に近いエリアもあり、倒す方向をミリ単位で制御する究極の精度が求められる。
「ユンボ、一時停止!周囲の安全確認よし!」。
地上班の合図とともに、私は25m級の主幹の根元に陣取った。まずは、倒したい方向に正確な「受け口」を刻む。チェーンソーの刃が硬い広葉樹の芯を捉え、鋭い音とともにオレンジ色のおが屑が鮮やかに舞う。続いて反対側から「追い口」を入れ、木の動きをコントロールする「ツル」を慎重に残していく。
「行くぞ、倒れるぞ!!」。
クサビを打ち込み、最後の一太刀を加えた瞬間、巨躯がゆっくりと傾き始めた。重力に引かれ、空気を切り裂くような轟音を立てて倒れゆく25mの幹。狙い通り、住宅や重機を避けたピンポイントの着地地点へと、地響きを立てて横たわった。
一本、また一本と、昨日まで空を遮っていた巨木たちが、職人の計算通りに地上へと平伏していく。2日目にして、さいたま市中央区の空がこれまでにないほど広く、明るく開けていく。しかし、倒して終わりではない。この横たわった巨大な「山の塊」を、次の「玉切り・集積」へと繋げるため、私たちの集中力は途切れることなく続いていく。


⑥お昼休憩
25mの樹上での緊迫したヒヤリハット、そして大型ユンボとの連携による重量材の集積。午前中だけで数日分にも匹敵するエネルギーを使い果たした現場に、ようやく穏やかな休息の時間が訪れた。
今日のランチタイムは、現場の一角に広げたブルーシート(あるいはオレンジシート)が特設のダイニングだ。さいたま市の住宅街の中にありながら、巨木に囲まれたこの場所は、どこかキャンプ場のような開放感がある。3人の職人が揃ってシートに腰を下ろし、持ち寄ったお弁当やコンビニの温かい麺類を広げる。
「さっきの枝の跳ね方、下から見てても肝が冷えたよ」「本当にな。重機との距離感も、午後はもう少し余裕を持たせよう」。
食事をしながら交わされる会話は、自然と午前中の反省と午後の安全策へと向かう。プロの現場において、休憩時間は単なる休養ではない。起きた事象を即座に共有し、チームの「安全意識の解像度」を極限まで高めるためのブリーフィングの場でもあるのだ。
しっかりと噛み締めながら食事を終えると、次は午後の猛攻に備えた水分補給と、火照った筋肉を休める静かな時間。国道を走る車の音を遠くに聞きながら、木漏れ日の中でしばし目を閉じる。2日目にして大勢を決しつつあるこの現場だが、巨木攻略の真髄は、こうした「静」の時間で養われる集中力にこそ宿っている。

⑦作業後
17時、さいたま市中央区の空に夕日が傾き始めた頃、チェーンソーの咆哮が止み、現場に再び住宅街の穏やかな静寂が戻ってきた。25m級の梢で起きたヒヤリハット、大型ユンボによる重量材の集積、そして5本の巨木の伐倒。3人で駆け抜けたこの2日目は、まさに「重機と人力が完璧に融合した一日」となった。
ヘルメットを脱ぎ、額の汗を拭いながら現場を見渡す。昨日まで空を覆い尽くし、威圧感さえ放っていた巨木たちは、今や整然とした「材の山」へと姿を変えている。重機のグラップルで積み上げられた丸太の山は、今日一日の圧倒的な仕事量を物語っていた。
「お疲れ様。ヒヤリとした場面もあったが、誰も怪我なく終われたのが一番の成果だ」。
3人で互いの無事を確認し、最後は現場の清掃に入る。大型重機を導入した現場であっても、最後は「人の手」による仕上げが重要だ。おが屑を払い、散らばった小枝を丁寧に拾い集める。敷地が美しく整うにつれ、初日の少数精鋭から始まったこのプロジェクトが、着実に「完遂」というゴールへ向かっていることを実感する。
施主様が現場を訪れ、大きく開けた空を見て「こんなに明るくなるなんて」と驚きの声を上げられた。その表情を見た瞬間、樹上の恐怖も、地上での重労働も、すべてが報われる。
しかし、冒頭でも触れた通り、この鴻巣から続く巨木攻略はまだ終わらない。明日はさらに搬出作業や細かな仕上げが待っている。私たちは充実感を胸に、泥のついた道具を積み込み、夕闇が迫るさいたまの街を後にした。巨木との対話は、まだ明日へと続いていく。

記入者: 株式会社 樹
現場: 埼玉県さいたま市中央区 個人宅(広大な敷地)
人員: 3人
完了日: 2026/04/16(作業2日目・伐採完遂)
成果: 広葉樹5本伐倒、枝落とし5本を完了。コンマ0.45ユンボを導入し、重量材の集積効率を最大化。樹上でのヒヤリハットを即座にチームで共有し、安全意識を再構築。2日目にして現場の景観を劇的に改善し、長期プロジェクトの大きな山場を越えた。



コメント