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八王子市鑓水・11日目の死闘。30mの巨大コナラ倒木を攻略せよ!ぬかるむ斜面で魅せる、職人の「人力」集積と意地。

  • 執筆者の写真: いつきスタッフ
    いつきスタッフ
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分

1. 作業前:30mの巨躯と対峙する。静寂を破る覚悟の朝


八王子市鑓水、和泉山の現場も11日目を迎えた。 (株)クレーベスト様のほど近く、連日の作業で私たちの体には確かな疲労が溜まっている。だが、今日の現場に漂う空気はどこか違う。 目の前に横たわるのは、樹高30mにも及ぶ巨大なコナラの倒木だ。


空は突き抜けるような青。 しかし、私たちの足元は依然として、これまでの湿気を含んだ土が重く粘っている。 このぬかるみの中で、どうやってあの巨躯を捌き、集積するか。 一歩間違えれば、不自然な方向に木が転がり、大事故に繋がりかねない。 3人のメンバーの視線が、自然と一点に集まる。


時計の針が8時を回るのを待つ。 近隣への配慮として、音出し作業は8時過ぎから。それが「樹」の変わらぬ鉄則だ。 チェーンソー2台とチルホールを準備し、沈黙の中で各々が自分の役割を再確認する。 この30mの巨木を攻略し、山を本来の姿に戻す。 長い戦いもいよいよ佳境。職人たちの顔に、静かな闘志が宿った。



作業前
作業前

2. 玉切り:30mの巨躯を解体する。チェーンソーとチルホールの共鳴


横たわるコナラの巨木。その長さ、実に30m。 倒木処理において最も神経を使うのが、この「玉切り」の工程だ。 これだけの巨木になると、幹の内部には想像を絶する負荷(テンション)がかかっている。 不用意に刃を入れれば、切り離した瞬間に幹が跳ね上がり、あるいは自重でチェーンソーを噛み込んで動かなくしてしまう。


「チルホールを張れ、重心を固定するぞ」


仲間に指示を飛ばす。 チルホールで幹の動きを制御しながら、慎重に切り込みの深さを調整していく。 エンジン全開。激しく舞い散る木屑が視界を遮るが、手元に伝わる「木の悲鳴」に全神経を集中させる。 足元は相変わらず、泥に足を取られる悪条件だ。 踏ん張りが効かない中で、チェーンソー2台を使い分け、巨軀を搬出可能なサイズへと確実に切り分けていく。


バキッ、と重低音が響き、巨大な塊が地面に沈む。 一筋縄ではいかない。だが、この一本を捌かなければ、杜の再生は始まらない。 職人の技術と道具、そして仲間の連携。 すべてが噛み合ったとき、30mの怪物は、静かにその巨体を横たえた。



玉切り
玉切り

3. 運搬集積:泥濘に抗う一歩。人力集積に捧げる職人の背中


玉切りを終えた後には、この現場で最も過酷な「人力での運搬」が待っていた。 30mの巨躯から切り分けられたコナラの丸太は、一つひとつがズッシリと重く、こちらの体力を容赦なく削りに来る。 さらに追い打ちをかけるのが、連日の作業と湿気で「底なし沼」のようになった足元だ。


「……っ、重いな」


思わず独り言が漏れる。 丸太を抱え上げ、集積場所へと歩き出すが、一歩踏み出すごとに長靴が泥に深く飲み込まれる。 踏ん張りが効かない。バランスを崩せば、抱えた丸太の下敷きになる危険もある。 枝の集積中には、ぬかるみに足を取られてヒヤリとする場面もあった。 それでも、私たちは歩みを止めない。


巨木の幹だけでなく、伐採した20本の竹もすべて人力で運び出す。 3人のメンバーが黙々と往復を繰り返し、泥にまみれながら少しずつ集積場を山にしていった。 効率を考えれば、重機があればどれほど楽だろうか。 だが、重機が入れないこの場所を守るためには、私たちの「手」と「足」が最後の砦なのだ。 泥だらけになった作業着と、肩に食い込む丸太の重み。 それこそが、この杜を再生させているという職人の自負そのものだった。



運搬作業
運搬作業

4. 作業後:11日間の死闘に終止符。和泉山に差し込む再生の光


17時。 最後の丸太を集積場に積み上げ、私たちはようやくチェーンソーのエンジンを止めた。 辺りを包むのは、作業中の喧騒が嘘のような、鑓水の静かな夕暮れだ。

改めて現場を振り返る。 そこには、朝まで我々の行く手を阻んでいた樹高30mのコナラの姿はない。 密集していた竹林も整理され、地面には心地よい木屑の香りが漂っている。 11日間に及んだこの現場。特に今日は、ぬかるんだ地面に足を取られ、体力の限界を試されるような場面の連続だった。 しかし、3人の職人が知恵を絞り、チルホールを駆使し、最後は自らの腕で一本一本を運びきった。


「お疲れさん」


互いの泥だらけになった作業着を見て、自然と笑みがこぼれる。 この「開かれた景色」こそが、私たちがここにいた証であり、施主様の大切な土地を守り抜いた成果だ。 道具を軽バンに詰め込み、和泉山の現場を後にする。 後ろ髪を引かれるような思いもあるが、私たちの技術を必要とする次の現場が待っている。 泥と汗にまみれた11日間。それは、一人の職人として、また一つ強く成長できた時間だった。



記入者: 株式会社 樹

現場: 東京都八王子市鑓水和泉山

人員: 3人

完了日: 2026/03/11

成果: 30mのコナラ倒木処理、および竹20本の伐採・集積を完了。悪天候による泥濘の中、チルホールと人力を駆使した精密な作業により、安全に現場を完遂した。

 
 
 

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