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埼玉県久喜市・個人宅の景観を守る。10m級のビワとキンモクセイに挑む伐採記:静寂への配慮と職人のスピード感

  • 執筆者の写真: いつきスタッフ
    いつきスタッフ
  • 2 日前
  • 読了時間: 8分

①作業前

2026年3月19日。春の柔らかな日差しが降り注ぐ中、我々「株式会社 樹」のチームは埼玉県久喜市鷲宮にある個人宅へと向かった。今回のミッションは、庭先に高くそびえ立ったビワとキンモクセイの伐採だ。どちらも樹高10m近くにまで成長しており、施主様の手には負えないサイズになっていた。

現場に到着してまず我々が意識したのは、周囲の環境だ。閑静な住宅街の一角。お隣との距離も近く、作業中の音や埃には細心の注意を払わなければならない。我々の仕事は木を切ることだが、それ以上に「その場所の安らぎを守る」ことが重要だと考えている。


「おはようございます。株式会社 樹です。本日、精一杯務めさせていただきます」


施主様へ挨拶を済ませ、現場を隅々まで確認する。10mの樹木が倒れる範囲、電線の位置、そして作業車両を停める場所。2人の職人が阿吽の呼吸で機材を展開していく。本日の相棒は、2台のチェーンソーと最新の電動ハサミだ。住宅街での作業を考慮し、可能な限り静かに、かつ迅速に。

車両(軽トラ)のエンジン音がいつもより少し不機嫌そうなのが気にかかるが、それもまた現場の醍醐味だ。どんな状況下でも、プロは道具を言い訳にしない。9時のチャイムと共に、我々の静かな闘いが幕を開けた。




②伐採作業

挨拶を終え、いよいよ10m級のビワとキンモクセイに向き合う。まずは、枝葉が密集している上部から攻めるのが鉄則だ。住宅街の真ん中、枝を一本落とすにしても、お隣の屋根や大切な植木を傷つけるわけにはいかない。ここで威力を発揮するのが、最新の電動ハサミだ。


「よし、まずは細いところからいくぞ」


エンジン音を響かせない電動ハサミは、静寂を守るべき現場での強力な味方だ。パチン、パチンと小気味よい音を立てて、まずは視界を遮る細かな枝を整理していく。脚立の上でバランスを取りながら、一枝ごとに落とす場所を見極める。

しかし、幹が太くなってくれば、いよいよ本命であるチェンソーの出番だ。スロットルを開け、鋭い刃がビワの白い木身を削り取っていく。ビワの木は、その瑞々しい見かけによらず、意外と粘りがあって重い。一太刀入れるごとに、木の傾きや重心の変化に神経を研ぎ澄ませる。


「下、気をつけて」


仲間に合図を送り、安全を確保しながら少しずつ高さを下げていく。上空から見下ろす鷲宮の住宅街は、いつもの散歩道とは違う緊張感に満ちている。我々の指先一つで、この美しい庭の未来が変わる。その責任を噛み締めながら、2人の職人は静かに、しかし着実に巨木を解体していった。




③目立て

午前中の作業を終え、現場には束の間の静寂が訪れる。住宅街での作業において、この休憩時間は単なる休息以上の意味を持つ。近隣への騒音配慮としてエンジンを止めている間に、午後の「斬れ味」を左右する重要な儀式、目立てを行う。

ビワやキンモクセイの枝を捌き続けたチェンソーの刃は、一見鋭そうに見えても、その微細な先端は確実に丸みを帯びている。切れ味が落ちた刃を無理に押し付ければ、余計な騒音を生み、何より作業者の安全を脅かす。私は愛機を傍らに置き、丸ヤスリを手に取った。


「この研ぎが、午後の安全を買うんだ」


一本一本の刃に対し、一定の角度、一定の力加減でヤスリを滑らせる。シュッ、シュッという規則正しい音だけが、鷲宮の静かな昼下がりに響く。指先に伝わる抵抗感が、刃が鋭利な輝きを取り戻していくことを教えてくれる。

道具を研ぐ時間は、自分自身の精神を研ぐ時間でもある。午前中の疲労をリセットし、午後の伐倒作業に向けて集中力を高めていく。研ぎ終えた刃に指先を軽く当て、吸い付くような手応えを確認して納得のいく息を吐く。エネルギーを補給し、完璧に仕上がった相棒と共に、我々は本日の山場へと向かう準備を整えた。




④伐倒作業

枝を払い、スッキリとした姿になったビワとキンモクセイ。ここからが本日のクライマックス、根本から切り倒す「伐倒」の作業だ。庭先の限られたスペース、さらに住宅が隣接するこの現場では、木を倒す方向を数センチ単位でコントロールしなければならない。


「よし、受け口作るぞ」


チェンソーの刃が幹に食い込み、正確な角度で受け口が刻まれる。倒したい方向を射抜くように、慎重に、かつ大胆に。2人の阿吽の呼吸で、周囲の安全を幾度も確認する。風向き、幹の重心、そして万が一の際の逃げ道。すべてが整った瞬間、追い口を入れる。


「倒れるぞ!」


ミシミシと木の繊維がちぎれる音が響き、10mの巨躯が狙い通りの場所へ吸い込まれるように倒れていく。地面を揺らす地響きと共に、無事に着地。何度経験しても、この瞬間だけは心臓の鼓動が早くなる。

倒れた直後のビワの木からは、どこか甘いような、力強い生命の香りが立ち上る。施主様の大切なお庭で、長年時を刻んできた樹木への敬意を込め、その断面を静かに見つめる。無事に倒しきった安堵感と、次なる片付け作業への気合が、職人の心に再び火を灯した。




⑤玉切り作業

無事に伐倒を終えたビワとキンモクセイを、次は搬出できるサイズへと解体していく「玉切り」の工程だ。地面に横たわった10mの巨体は、立っている時以上にそのボリュームを感じさせる。住宅の基礎や窓がすぐそばにあるため、チェンソーの刃を入れる方向、切り落とした丸太が転がる先まで計算し尽くさなければならない。


「よし、ここから細かくしていくぞ」


チェンソーのエンジン音が響き、硬い樹皮が削り取られていく。ビワの木は密度が高く、一太刀ごとにずっしりとした手応えが腕に伝わってくる。今日は相棒である軽トラの調子が今ひとつ不機嫌だ。積み込める量やバランスにいつも以上に気を配る必要があるため、丸太の長さも積み込みやすさを重視して、普段よりさらに細かく、丁寧に揃えていく。

切り進めるうちに、現場には独特の木の香りが漂い始める。枝の処分が追加で発生したこともあり、足元には瞬く間に木屑と枝葉が積み上がっていく。2人の職人が役割を分担し、一人が切り、一人が即座に整理する。この流れるような連携こそが、限られた作業時間の中で「株式会社 樹」の品質を支えている。


「これなら積み込みやすいな」


等間隔に並んだ丸太たちは、搬出を待つ準備が整った証だ。軽トラの不調という想定外の事態も、現場での工夫一つで乗り越えていく。それがプロの現場であり、我々の誇りだ。




⑥積み込み作業

解体したビワとキンモクセイを軽トラへと運び込む、本日の現場における最大の重労働が始まった。10m級ともなれば、切り分けた丸太一つひとつの重量も相当なものだ。さらに今回は、予定していた伐採木だけでなく、急遽「枝の処分」も追加で引き受けることになった。現場ではよくあることだが、限られた積載スペースとの戦いが一段と激しさを増す。


「よし、重い方から下に入れて安定させるぞ」


人力での積み込みは、単なる力仕事ではない。不調を抱える軽トラの足回りに負担をかけすぎないよう、重量バランスを考えながらパズルのように組み上げていく。丸太の隙間に、追加で出た枝葉をぎっしりと詰め込み、一回で運びきれる限界まで密度を高めていく。一歩間違えれば荷崩れを起こしかねないが、そこは数々の現場をこなしてきた2人の経験が光る。


「あと少し、これで行けるはずだ」


額から流れる汗を拭う暇もなく、積み込みを続ける。積み上がっていく荷台を見るたびに、この現場を無事に終わらせるという使命感が体を動かす。ようやくすべての丸太と追加の枝が荷台に収まったとき、サスペンションがぐっと沈み込み、軽トラが「これ以上は勘弁してくれ」と言わんばかりの重厚な佇まいを見せた。

シートを被せ、ロープでガッチリと固定する。走行中に一本の小枝も落とさないよう、念入りに締め上げる。泥臭く、腕がパンパンになるような過酷な作業だが、この積み込みこそが現場の終わりを象徴する。不調な相棒と共に、我々は確かな達成感を荷台に乗せて、次のステップへと歩みを進めた。




⑦作業後

15時。久喜市鷲宮の空に響いていたエンジン音が止まり、現場には穏やかな静寂が戻ってきた。10m近くあったビワとキンモクセイは姿を消し、代わりに庭の奥まで明るい日差しが差し込んでいる。作業前には鬱蒼としていた空間が、今では見違えるほど広々と感じられる。

最後は、チェーンソーの切り屑一つ、小枝一本残さないための徹底した清掃だ。ブロワーで細かなゴミを飛ばし、竹箒で丁寧に掃き清める。住宅街だからこそ、この「仕上げ」の質が、我々に対する地域の信頼へと直結する。


「もう終わったんですか! 作業が早くて助かりました」


片付けを終える頃、様子を見に来られた施主様からそんな嬉しい言葉をいただいた。プロとしてスピードと正確性を両立させることは当然の義務だが、こうして直接感謝の言葉をいただけると、それまでの疲れも一気に吹き飛ぶ。追加で発生した枝の処分も、不調な軽トラに工夫して積み込み、無事に全てを収めきることができた。

現場を後にする前、我々は再び周辺の住宅へと視線を送る。今日の仕事が、施主様だけでなく、この街の方々にとってもプラスのものであったなら幸いだ。15時半からは、この熱量をそのままに近隣の営業回りへと繰り出す。一本の木を伐ることから始まる新たな縁を求めて、株式会社 樹はこれからも走り続ける。




記入者: 株式会社 樹

現場: 埼玉県久喜市鷲宮(個人宅)

人員: 2名

完了日: 2026/3/19

成果: 10m級のビワ・キンモクセイの伐採・搬出を完遂。追加の枝処分を含め、住宅密集地での静音・迅速作業により施主様から高い評価をいただいた。


 
 
 

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