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埼玉県坂戸市・赤尾堤桜公園の巨木に挑む。20mのクヌギ剪定と、春を待つ桜並木の安全を守る職人の一日。

  • 執筆者の写真: いつきスタッフ
    いつきスタッフ
  • 1 日前
  • 読了時間: 8分

①作業前

埼玉県坂戸市、赤尾堤桜公園。春の足音がすぐそこまで迫る3月16日、我々「株式会社 樹」のチームは、この静かな公園に降り立った。空は雲ひとつない快晴。絶好の作業日和だが、目の前にそびえ立つ標高20m級のクヌギを仰ぎ見ると、自然と背筋が伸びる 。


今日の任務は、この巨大なクヌギの剪定と、公園の象徴である桜の木のうち、道路側に張り出した枝の整理だ。桜は開花を控え、枝先には膨らみ始めた蕾が宿っている。この繊細な時期に、いかに木への負担を最小限に抑え、かつ道路を通る車や歩行者の安全を確保するか。それがプロとしての腕の見せ所だ 。


現場は公園という公共の場。朝の静寂を壊さないよう、機材の準備は慎重に進める。エンジン音を響かせるのは、近隣への配慮から8時を過ぎてからと決めている。その「待ち」の時間こそが重要だ。チェーンソーの燃料を確認し、周囲の養生に不備がないか、指差呼称で一つひとつチェックを重ねる 。


「よし、やるか」。

3人の職人が視線を交わす。阿吽の呼吸でそれぞれの持ち場へと散っていく。20mの高みにある枝先から、道路を往来する人々の安全まで、すべてを掌中に収める戦いが、今ここから始まる。



②玉切り

8時を告げるチャイムが遠くで鳴り響くと同時に、沈黙を守っていたチェーンソーに火を灯す。冷えた空気を切り裂くエンジン音。ここからは、時間と技術との勝負だ。

20mのクヌギから下ろされた巨大な枝、そして道路側に張り出していた桜の枝。それらを、搬出可能なサイズへと細分化していく「玉切り」の作業が始まる。一見、ただ切るだけの単純な作業に見えるかもしれないが、ここには職人の経験則が詰まっている。

地面に横たわった巨木には、複雑な「テンション(張力)」がかかっている。無造作に刃を入れれば、木の重みでチェンソーのバーが挟まり、最悪の場合は跳ね返り(キックバック)を招く。木がどちらに転がりたがっているのか、どこに力が凝縮されているのか。切り口が開くのか、閉じるのか。それを一瞬で見極め、一太刀ごとに「逃げ」を作りながら刃を進めていく。

「シュン、シュン」と小気味よい音を立てて、厚い樹皮が削り取られ、真新しい木目が顔を出す。クヌギ特有の、ずっしりと重く硬い手応えが腕に伝わってくる。20mもの高さを支えてきた生命の重みだ。

桜の枝を扱うときは、さらに神経を研ぎ澄ます。クヌギに比べて粘りがある桜は、切り進める感覚がまた違う。春の芽吹きを邪魔しないよう、そして切り口から病気が入らないよう、細心の注意を払って刃を滑らせる。


「よし、これで運べる」


足元に積み上がっていく等間隔の丸太たち。それは、ただの薪の山ではない。安全に、そして確実に「山を整理した」という職人の足跡だ。腰を下ろす暇はない。切り出した端から、次はこれらを運び出す体力の限界に挑む作業が待っている。



②玉切り

8時を告げるチャイムが遠くで鳴り響くと同時に、沈黙を守っていたチェーンソーに火を灯す。冷えた空気を切り裂くエンジン音。ここからは、時間と技術との勝負だ。

20mのクヌギから下ろされた巨大な枝、そして道路側に張り出していた桜の枝。それらを、搬出可能なサイズへと細分化していく「玉切り」の作業が始まる。一見、ただ切るだけの単純な作業に見えるかもしれないが、ここには職人の経験則が詰まっている。

地面に横たわった巨木には、複雑な「テンション(張力)」がかかっている。無造作に刃を入れれば、木の重みでチェンソーのバーが挟まり、最悪の場合は跳ね返り(キックバック)を招く。木がどちらに転がりたがっているのか、どこに力が凝縮されているのか。切り口が開くのか、閉じるのか。それを一瞬で見極め、一太刀ごとに「逃げ」を作りながら刃を進めていく。

「シュン、シュン」と小気味よい音を立てて、厚い樹皮が削り取られ、真新しい木目が顔を出す。クヌギ特有の、ずっしりと重く硬い手応えが腕に伝わってくる。20mもの高さを支えてきた生命の重みだ。

桜の枝を扱うときは、さらに神経を研ぎ澄ます。クヌギに比べて粘りがある桜は、切り進める感覚がまた違う。春の芽吹きを邪魔しないよう、そして切り口から病気が入らないよう、細心の注意を払って刃を滑らせる。


「よし、これで運べる」


足元に積み上がっていく等間隔の丸太たち。それは、ただの薪の山ではない。安全に、そして確実に「山を整理した」という職人の足跡だ。腰を下ろす暇はない。切り出した端から、次はこれらを運び出す体力の限界に挑む作業が待っている。




③運搬集積

玉切りされたクヌギや桜の丸太が地面を埋め尽くすと、次なる難関が待ち構えている。今回の現場、赤尾堤桜公園での搬出は「人力」が主役だ。大型の重機が入り込めない場所や、芝生を傷めてはいけない繊細な現場では、結局のところ職人の肩と腰が一番の頼りになる。

切り出されたばかりのクヌギは、水分をたっぷりと含んでいて驚くほど重い。一抱えもある丸太を、一つひとつ丁寧に、かつ迅速に軽トラへと運び込んでいく。足元は公園特有の起伏があり、一歩一歩踏みしめるごとに足腰に強烈な負荷がかかるが、ここで手を抜くわけにはいかない。

軽トラの荷台という限られたスペースをいかに有効に使うか。これも一つの技術だ。無造作に放り込めばすぐに溢れてしまうが、パズルのように隙間を埋めながら積み上げることで、一度に運べる量を最大化する。荷台がいっぱいになる頃には、額から大粒の汗が滴り落ちる。

この過酷な作業を支えるのは、3人のチームワークだ。「そっち持てるか?」「よし、上げるぞ」。短い言葉のやり取りの中に、互いの疲労度を察し、安全を確保し合うプロの絆がある。

重機を使えば一瞬かもしれない。けれど、自分の手でその重みを感じ、一段ずつ荷台が埋まっていく光景には、得も言われぬ充実感がある。公園を利用する人々が、明日からまた気持ちよくこの道を通れるように。その一心で、我々は泥臭く、けれど確実に、運び出した。




④除伐

大径木のクヌギや桜の枝下ろしと並行して進めるのが、この「除伐」だ。公園という場所柄、どうしても管理の手が届きにくいエリアには、勝手に生えてきた雑木や、メインの樹木の生育を阻害する「ひこばえ」が密集してしまう。これらを適切に整理することで、木々に日光を届け、風通しを良くするのが我々の使命だ。

今回の赤尾堤桜公園でも、道路面に張り出した枝や、桜の主幹に絡みつくような不要な細木が散見された。これらを放置しておくと、視界を遮って交通事故の原因になったり、台風時に折れて歩行者を傷つけたりするリスクがある。

チェーンソーの刃を慎重に入れ、一本ずつ丁寧に「抜いて」いく。ただ切ればいいというものではない。どの枝を残せば来月には美しい桜のトンネルが出来上がるか、どの木を払えば公園全体が明るくなるか。数年後の景色をイメージしながら、一本一本の命と対話するように作業を進める。

作業中、最も気を引き締めるのはやはり道路面だ。公園の脇を走る道路は、地元の方々の生活道路でもある。車が通るたびに手を止め、歩行者の安全を最優先に確保する。枝を落とすタイミング、落とした後の速やかな片付け。3人の連携がここで真価を発揮する。

除伐が進むにつれ、重苦しく鬱蒼としていた空間に、春の柔らかな光が差し込み始めた。地面に落ちる影がくっきりと形を成していく。この「光の道」を作ることこそ、伐採職人が現場で味わえる最高の瞬間の一つかもしれない。





⑤目立て

午前中の激しい作業を終え、太陽が真上を過ぎる頃、現場には束の間の静寂が訪れる。職人たちにとって、この昼休憩は単なる身体の休息ではない。午後の戦闘に備え、最も重要な「武器」を研ぎ澄ます時間だ。我々が手にするチェーンソーは、適切にメンテナンスされて初めて、その真価を発揮する。

特にクヌギのような硬い木を相手にした後は、刃の消耗が激しい。切れ味の落ちた刃で無理に切り進めようとすれば、余計な力が入り、作業効率が落ちるばかりか、キックバックなどの重大な事故に直結する。だからこそ、我々は現場での「目立て」を絶対に欠かさない。

木陰に腰を下ろし、丸ヤスリを手に取る。一本一本の刃に対し、一定の角度、一定の圧力でヤスリを滑らせる。この時、指先に伝わる微かな感覚だけが頼りだ。正しく研げた刃は、光を浴びて鈍く輝き、指先で触れると吸い付くような鋭さを取り戻す。

この静かな研磨の時間こそが、職人としての誇りを確認する場でもある。道具を愛し、道具にこだわる。その姿勢が、結果として安全で、美しい仕上がりを生み出すと信じている。

エネルギーを補給し、目立てを終えたチェーンソーに再び燃料を満たす。スターターロープを引けば、午前中よりも一層高く、鋭いエンジン音が公園に響き渡る。切れ味を復活させた相棒と共に、我々は午後の残された任務へと向かう。



⑥作業後

15時。予定通り全ての工程を終えた頃、赤尾堤桜公園には再び穏やかな静寂が戻っていた。朝、我々を圧倒するようにそびえ立っていた20mのクヌギは、適切な剪定によってその輪郭をすっきりと空に描き、道路面に張り出していた桜の枝も、これでもう車や歩行者の邪魔をすることはない。

最後に、作業で出た細かな枝葉を一本残らず掃き清める。現場を去る際、作業前よりも美しく整っていること。それが「株式会社 樹」が守り続けている現場マナーの真髄だ。ブロワーと竹箒を使い、アスファルトや芝生の上に残った切り屑を丁寧に集めていく。この最後のひと手間が、地域の皆様への感謝の印でもある。

振り返れば、人力での運搬や20m級の巨木への挑戦など、決して楽な現場ではなかった。しかし、整えられた桜並木の向こう側に広がる青空を見たとき、体中の疲労が心地よい達成感へと変わる。もうすぐ、ここには見事な桜の花が咲き誇るだろう。その景色の一部を自分たちの手で守れたのなら、職人冥利に尽きるというものだ。

「お疲れ様でした」。

道具を軽バンに積み込み、3人で公園を一礼して後にする。次はどの街の、どの樹木が我々を待っているだろうか。安全第一、そして木への敬意を忘れずに。我々の挑戦は、これからも続いていく。


記入者: 株式会社 樹

現場: 埼玉県坂戸市赤尾(赤尾堤桜公園)

人員: 3名

完了日: 2026/3/16

成果: 20mのクヌギ剪定、桜の道路面剪定、および周辺の除伐・清掃を完遂。公園の景観改善と道路交通の安全を確保した。


 
 
 

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