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東京都瑞穂町・国道16号沿い伐採プロジェクト:3日目。ナラの巨木15本伐倒と「抜根」への挑戦。

  • 執筆者の写真: いつきスタッフ
    いつきスタッフ
  • 5 時間前
  • 読了時間: 10分
作業前
作業前

①朝日が照らす「ナラの防壁」と、国道16号の鼓動

2026年2月21日、土曜日。瑞穂町の空は、昨日の喧騒を忘れさせるような見事な快晴に恵まれました。朝8時、私たちが現場に到着したとき、国道16号はすでに多くの大型トラックや行楽へ向かう車で行き交い、独特の活気に包まれていました。


2日間の作業を経て、視界は少しずつ開けてきたものの、そこには依然として樹高15〜20メートルに達する「ナラの木」が、まるで巨大な防壁のようにそそり立っています。冬の澄んだ青空を背景に、葉を落としたナラの枝先が複雑に絡み合う様は、この現場の難易度を改めて物語っています。

ガードレール越しにすぐそこまで道路が迫っていることがわかります。この至近距離こそが、本プロジェクト最大のプレッシャーです。一歩間違えれば、この巨木たちが国道の流れを止めてしまいかねません。ガードマンと連携し、カラーコーンで安全区画を厳重に構築しながら、私たちは3日目の布陣を整えました。

さらに詳細に現場を観察すると、地面にはこれまでの作業で発生した枝葉が山を成し、その奥にはまだ15本ものナラが、地深く根を張って待ち構えています。今日、私たちはこのナラを全て伐倒するだけでなく、その後の「抜根(ばっこん)」という、土との格闘も視野に入れています。


「昨日のツルには苦労させられたが、今日こそは根こそぎ片付けるぞ」


スタッフ4人の間には、そんな静かな闘志が流れていました。相棒の軽バンから、入念にメンテナンスされたチェーンソーを降ろす音、そして現場をサポートする軽トラのエンジン音が、瑞穂町の朝の空気に心地よく響きます。


しかし、この時点の私たちはまだ知る由もありませんでした。3日目という「慣れ」が生む死角、そして国道沿いという立地ゆえに避けては通れない「近隣住民の方からの厳しいお声」が、この後の私たちを待ち受けていることを——。



②伐採作業:国道16号の視線を感じながら、巨木と「空中の伏兵」に挑む


朝日が昇りきると同時に、現場にはチェーンソーの鋭いエンジン音が響き渡りました。3日目のメインミッションは、残るナラの巨木15本の伐倒です。国道16号のガードレールから目と鼻の先という立地、そして行き交う大型車両や歩行者。一瞬の気の緩みも許されない、プロとしての真価が問われる時間が始まります。

まず私たちが直面したのは、昨日から引き続き立ちはだかる「ツル」の猛威でした。ナラの太い幹には、まるで大蛇が獲物を締め上げるかのように、無数のツルが幾重にも巻き付いています。これが伐採の難易度を劇的に跳ね上げます。


空中に身を投じるクライマーは、まずこのツルを一本ずつ断ち切ることから始めなければなりません。ツルが絡まったまま枝を切り離せば、枝が予想外の方向に跳ねたり、あるいは隣の木に引っかかったまま「空中ブランコ」状態になったりと、極めて危険な状況を招くからです。

地上では、伐倒の瞬間をコントロールする職人が慎重に「受け口」を作り、コンマ0.25ユンボと連携して確実に安全な方向へとナラを導きます。国道側の歩行者や走行車両に細心の注意を払い、ガードマンとの連携を密にしながら、「今だ!」というタイミングで巨木を大地へと下ろしていきます。


「右よし!前方よし!行くぞ!」


鋭いコールの後、地響きとともに横たわるナラの巨体。しかし、倒れた後も戦いは続きます。倒れた幹にさえ、まだツルが執拗に絡みついているからです。スタッフたちは一本の木に対して、枝を払い、ツルを解き、幹を切り分けるという工程を、驚異的な集中力で繰り返しました。

午前中の作業だけで、現場の景色は劇的に変わり、積み上がる枝葉の山が激闘の証として刻まれていきました。しかし、この集中力の裏側で、国道沿いならではの「近隣住民の方からの厳しいお声」への対応という、精神的なタフさを求められる場面も並行して発生していたのです。私たちはプロとして、その言葉を真摯に受け止めつつ、安全という絶対的な使命を全うするためにチェーンソーを握り続けました。



伐倒中
伐倒中


③お昼ご飯:瑞穂町の空の下、切り株の特等席で味わう「職人の活力」


国道16号を絶え間なく行き交う大型車の走行音を遠くに聞きながら、現場には束の間の静寂が訪れます。午前中、樹高20メートル近いナラの巨木を相手に、神経を研ぎ澄ませて作業を続けてきた4人の職人たち。張り詰めた緊張感を解き、使い込まれたチェーンソーを置いたとき、ようやく一息つける至福の時間が始まります。

今日の「現場食堂」は、まさに伐採現場ならではのワイルドなスタイルです。

自分たちが切り出したばかりのナラの丸太や、どっしりと大地に残った切り株を椅子代わりにして腰を下ろします。

冬の澄んだ空気の中、陽光を浴びながら食べる温かいお弁当は、どんな高級店よりも深く身体に染み渡ります。食事を囲みながら交わされるのは、午前中の作業の振り返りや、午後の「抜根」に向けた作戦会議。



「今日のツルは本当にしぶとかったな、刃があっという間に持っていかれそうだ」

「午後の抜根はユンボの角度が重要だ、みんなで呼吸を合わせていこう」



職人のすぐ側には午前中に集積した巨大な枝の山がそびえ立っています。自分たちの仕事の成果を目の前にしながら、仲間と同じ目線で語り合うこの時間は、単なる休息以上の価値を持ちます。4人のチームワークがさらに強固なものへと再構築され、瑞穂町の空をより広く切り拓くための「ガソリン」が、一人ひとりの身体に満たされていきました。

13時。お弁当のゴミを丁寧にまとめ、現場を清掃して立ち上がる私たちの表情には、午後の難関である「抜根作業」へと立ち向かうための、新たな鋭い闘志が宿っていました。




昼食
昼食


④抜根作業:大地を揺らす重機と、ナラの巨根との真っ向勝負


伐倒を終えた地上部とは対照的に、地中にはナラの巨木たちが数十年にわたって蓄えてきた強靭なエネルギーが、複雑に張り巡らされた「根」となって眠っています。この根を掘り起こす抜根作業こそ、現場の風景を「山」から「平地」へと劇的に変える、もっともダイナミックな工程です。


ここで主役となるのが、私たちの頼れる相棒、0.25ユンボ(バックホウ)です。写真をご覧いただければ、その迫力が伝わるはずです。瑞穂町の硬い土壌にユンボのアームが深く突き刺さり、ナラの巨大な株を抉り出そうとする瞬間、現場には「ズズズ……」と大地が鳴るような振動が伝わります。

ナラの根は非常に深く、横にも広いため、力任せに引っ張るだけではびくともしません。ユンボのバケットを器用に操り、まずは株の周囲の土を丁寧に掘り下げ、太い側根を一本ずつ断ち切っていく「外科手術」のような緻密な作業が求められます。ユンボのエンジンが唸りを上げ、油圧のパワーが限界まで高まる瞬間、ついに数十年間大地を掴んでいた巨根が浮き上がります。

この作業中に気を抜けないのが、昨日から私たちを苦しめている「ツル」の残骸と、地中に隠れた埋設物への配慮です。さらに、ここは国道16号の至近距離。抜根の衝撃で道路側のフェンスやガードレールに影響が出ないよう、4人のスタッフはユンボの死角に立ち、ミリ単位の合図を送り続けます。

掘り起こされた巨大な根株が地上に姿を現したとき、その圧倒的な大きさに全員が息を呑みました。これだけのエネルギーを支えていた木を、私たちは今、自分たちの技術で攻略している——。その達成感は、抜根作業ならではの醍醐味です。瑞穂町の地表は、重機の咆哮とともに、着実に新しい姿へと作り変えられていきました。



抜根作業
抜根作業


⑤玉切り作業:巨木を「資源」へ。国道沿いで光る、熟練の断裁技術


大地に横たわった樹高15〜20メートルのナラたちは、そのままだと重機でも手に負えない巨大な「塊」に過ぎません。これらを2メートル前後の一定の長さに切り揃え、搬出可能な状態にするのが玉切り作業です。

スタッフはチェーンソーを真っ直ぐに構え、丸太に対して垂直に刃を入れていきます。一見単純に見えるこの作業ですが、実は高度な技術と判断力が求められます。横たわった巨木には、自重や地面の凹凸によって複雑な「荷重(テンション)」がかかっており、不用意に刃を入れると、切り離した瞬間に材が跳ねたり、チェーンソーの刃が挟まって抜けなくなる「噛み込み」が発生するからです。

特に今回の現場は国道16号に隣接しており、作業スペースが限られています。ガードレールからわずか数メートルの場所で、倒した幹を一本ずつ丁寧に、かつスピーディーに捌いていきます。切り分けられたナラの丸太は、その切り口から新鮮な木の香りを漂わせ、瑞穂町の澄んだ空気に広がります。

同時に、大量に発生した枝葉の処理も並行して行われます。細かな枝はチェーンソーで細かくし、コンマ0.25ユンボのフォークを使って一箇所に整然と積み上げていきます。


この玉切り作業こそ、荒々しかった「伐採」という行為が、次の搬出へと繋がる「整理」へと昇華する瞬間です。国道を走る多くの車の視線を感じながら、私たちは「なるべく幹を綺麗に切る」というプロのマナーを貫き、横たわったナラたちを、美しい山の形に集積していきました。



玉切り
玉切り


⑥目立て:西日に照らされ、明日の「一太刀」を研ぎ澄ます


17時が近づき、瑞穂町の空が柔らかな夕闇に包まれ始める頃、現場にはチェーンソーのエンジン音に代わって、ヤスリが刃を削る規則正しい金属音が響き渡ります。一日中、硬いナラの巨木や執拗に絡みつくツルと戦い続けたチェーンソーの刃を、再び最高の状態へと戻す「目立て」の時間です。


スタッフは夕陽を背に浴びながら、地面に腰を下ろして一振りずつ丁寧にヤスリを入れていきます。3日間にわたる激しい伐採作業で、刃は目には見えないレベルで摩耗し、切れ味が鈍っています。特に本日は「抜根」など土に近い場所での作業も多かったため、刃へのダメージは想像以上です。


「今日もお疲れ様。最後の一本、ツルのせいでだいぶ刃が食われちゃったな」

「明日もまた国道沿いの緊張する作業が続く。今、ここで完璧に戻しておかないとな」


そんな会話を交わしながら、職人たちは自分の指先の感覚だけを頼りに、刃の角度をコンマ数ミリ単位で整えていきます。目立ては単なるメンテナンスではありません。今日一日の自分たちの動きを振り返り、ヒヤリとした場面を反省し、そして明日こそはより安全に、より鮮やかに木を捌くための「心の準備」でもあります。

西日に照らされながら集中して刃を研ぐ職人の姿は、瑞穂町の新しい風景の一部として、静かな誇りに満ちていました。


明日もまた、この研ぎ澄まされた刃が、瑞穂町の空をさらに広く切り拓いていく。その確かな手応えとともに、職人たちは相棒であるチェーンソーを愛おしむように磨き上げました。



目立て
目立て


⑦作業後:国道16号に広がる新たな地平と、次なるステージへの誓い


17時。瑞穂町高根の現場に、今日最後となる静寂が訪れました。3日間にわたり、国道16号を行き交う無数の車両の傍らで鳴り響いていたチェーンソーのエンジン音も、今は静かに眠りについています。

作業開始前、視界を完全に遮っていたあの巨大な「ナラの壁」はもうどこにもありません。そこにあるのは、どこまでも高く広がる瑞穂町の青空と、整然と積み上げられた戦果の山です。15〜20メートル級のナラの巨木15本をすべて仕留め、さらにその根を抉り出す「抜根」までを完遂したこの景色は、まさに圧巻の一言に尽きます。

今回の3日目は、現場の景色を「平面」へと戻す、非常にタフな戦いでした。幾重にも絡みつくツルとの格闘に始まり、重機での牽引中に幹が折れるといった不測の事態、そして国道沿いという立地ゆえの近隣住民の方々へのきめ細やかな配慮——。難易度「中」と設定した現場ではありましたが、4人のスタッフがそれぞれの持ち場でプロとしてのプライドを貫いたからこそ、この無事故・無災害での完了へと漕ぎ着けることができました。


「お疲れ様。あんなに鬱蒼としていた場所が、ここまで明るくなるなんてな」


お互いの泥だらけの防護服を見て笑い合うスタッフの目には、確かな達成感が宿っています。一旦現地に集積された膨大な材と枝葉は、後日、大型車両による搬出を待つばかりとなりました。

瑞穂町の新しい風景に、これからは心地よい風が吹き抜けることでしょう。私たちは、この街の「緑の守り手」としての誇りと、今回の現場で得た新たな経験を胸に、相棒の軽バンと軽トラで現場を後にしました。瑞穂町高根、国道16号プロジェクト。これにて、一つの大きな山場を越えました。



作業後
作業後


記入者:株式会社 樹

現場: 東京都西多摩郡瑞穂町高根(国道16号沿い)

人員: 4名 完了日: 2026年2月21日(土曜日)

成果: ナラ15本、各所除伐・抜根完了、現地集積完了

 
 
 

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