比企郡小川町勝呂・電線に這い寄る難敵に挑む。高所作業車で緊迫の空中戦を制した「樹」の1日。
- いつきスタッフ

- 12 分前
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①作業前 2026年4月25日、空は抜けるような快晴。我々「株式会社 樹」の2人が向かったのは、埼玉県比企郡小川町勝呂にある現場だ。今回の任務は、道路脇から生い茂り、完全に電線へと絡みついてしまった雑木群の剪定・除伐作業。現場に到着して周囲を見上げる。春の陽気とは裏腹に、目の前に広がる光景には強い緊迫感が漂っていた。放っておけば断線や停電を引き起こしかねない、まさに一刻を争う境界線だ。
まずは現場周辺の状況を徹底的に確認する。道路沿いという立地ゆえ、歩行者や通行車両の安全確保が今日の絶対条件。朝一番の元気な挨拶とともに、近隣への配慮を忘れない。
「おはようございます!株式会社 樹です。本日よろしくお願いします」
作業開始の合図を待つ間、チェーンソーの燃料をチェックし、高所作業車のセッティングを進める。エンジン音を響かせるのは、地域への配慮として8時を過ぎてから。それが我々の鉄則だ。ヘルメットの顎紐をきつく締め直し、相棒と視線を交わす。電線に這い寄る緑の怪物に、職人のプライドをかけてメスを入れる時間が来た。

②高所作業車 センター作業
時計の針が8時を回ると同時に、9.9m高所作業車のブームが静かに、しかし力強く上空へと伸びていく。ここからは一瞬の油断も火花散る事故に直結する、緊迫の空中戦だ。バケットに乗り込み、電線のわずか数十センチ横まで接近する。地上から見るよりも、上空の状況は遥かに複雑に入り組んでいた。
電線を包み込むように伸びた太い枝。チェーンソーの刃を入れる角度を間違えれば、切り落とした枝が電線を直撃する。枝の重み、しなり、そして風の向きを計算し尽くし、狙いを定めてエンジンを吹かす。甲高い金属音が小川町の山間に響き、白い木屑が宙を舞う。
「よし、そのまま少しずつ下ろすぞ」
インカム越しに地上と密に連携を取りながら、切り出した枝をロープでコントロールして安全に地上へ落としていく。高所でのチェーンソー捌きは、力任せでは通用しない。体幹を研ぎ澄ませ、重力と機械の力を味方につける。電線を一本も傷つけることなく、空を覆っていた障害物を確実に、そして精密に削ぎ落としていった。



③除伐作業
空中戦と並行して、地上では密集した雑木を根元から裁く「除伐作業」が本格化する。今回、我々の前に立ちはだかった最大の難敵は、何年も放置されて太く育った「ツル絡み」の枝払いだった。雑木同士、そして地面を這うツルが複雑に絡み合い、まるで強固な網のようにチェーンソーの進行を阻む。
「チッ、思った以上に刃が持っていかれるな」
ツルが絡んだ枝は、不用意に切ると予期せぬ方向へ跳ね返ってくるため、キックバックのリスクが跳ね上がる。足元をしっかりと踏み締め、まずは一本ずつツルをナタや小型チェーンソーで断ち切っていく。泥臭く、腕の筋肉が悲鳴をあげるような地道な作業。しかし、この下処理を完璧にこなさなければ、安全な伐採は成し得ない。
徐々に視界が開け、道路脇の石垣の輪郭がはっきりと見え始める。鬱蒼とした杜に光が差し込む瞬間。これこそが、職人の苦労が報われる最初の報酬だ。どんなに過酷なツルであっても、我々の刃の前には道を譲るしかないのだ。

④積み込み作業
切り落とされた大量の枝葉が、現場の地面を埋め尽くしていく。ここからは時間との戦い、3トンダンプへの積み込み作業だ。今回の現場は大型重機を何台も並べられる広さはないため、最後にモノを言うのは職人の肩と腰、そして連携力である。
「一気にダンプへ放り込むぞ、腰を痛めるなよ!」
水分を含んだ雑木の青葉は、見た目以上にずっしりと重い。2人で呼吸を合わせ、無心で荷台へと運び込む。ただ投げ入れるだけでは、あっという間に荷台から溢れてしまう。太い幹を下に敷き詰めてベースを作り、その隙間を狙って細かな枝葉をパズルのように力技で圧縮しながら詰め込んでいく。
ダンプのコンパネの高さ限界まで密度を高め、積載効率を限界まで引き上げる。額から滴り落ちる汗が目に入るが、拭う暇もない。荷台が緑の山で満たされていくたびに、現場の終わりが近づいていることを体感する。重機がないなら、人間の力で圧倒すればいい。それが「樹」の現場の底力だ。

⑤ダンプで搬出作業
15時を過ぎ、荷台を完璧に満載にした3トンダンプが動き出す。ここからの搬出作業も、決して気を抜くことはできない。小川町勝呂の現場を離れ、一般道、そして主要幹線道路を走って処分場へと向かう。国道を走る以上、一本の小枝、一枚の葉っぱすらも道路へ飛散させることは絶対に許されない。
「よし、ロープをもう一締めするぞ」
ダンプの荷台全体を強固なシートで覆い、ラッシングベルトとトラックロープを使い、全体をガッチリと締め上げる。走行中の風圧でシートがバタつかないよう、職人の結び(南京結び)でこれでもかと固定していく。
バックミラーに映る、微動だにしない荷台のシートを確認し、クラッチを繋ぐ。ずっしりとした重量感がタイヤを通じてシートに伝わる。走行中も歩行者や対向車への目配りを怠らず、安全第一の運転を徹底する。現場を綺麗にするだけでなく、移動中も含めて完璧にこなしてこそ、真のプロフェッショナルである。
⑥作業後
16時。小川町の空に響き渡っていたチェーンソーの咆哮が止まり、現場にはすがすがしい静寂が戻ってきた。作業前、あれほど電線を脅かすように鬱蒼と茂っていた雑木群は姿を消し、綺麗に整えられた斜面の上には、何にも遮られることのない青空が広がっている。
最後は、チェーンソーの切り屑一つ、小枝一本残さないための徹底した道路清掃だ。ブロワーを吹かし、竹箒でアスファルトの隅々まで掃き清める。地域の方々へのマナー、そして施主様への誠意をこの「仕上げ」に込める。
「綺麗にやって貰い、ありがとうございました!」
片付けを終える頃、すっきりと開けたお庭と電線を見上げた施主様から、本当に温かいお言葉をいただいた。ツル絡みの枝払いに苦労した2日間の疲れが、その一言で一気に吹き飛んでいく。
現場を後にする前、我々は再び美しくなった道路を見渡す。今日整えたこの景観が、この街の明日の安全を守る。その誇りを胸に、株式会社 樹はまた次の現場へとダンプを走らせる。

記入者: 株式会社 樹
現場: 埼玉県小川町
人員: 2人
完了日: 2026/04/25
成果: 比企郡小川町勝呂の個人宅周辺にて、電線に激しく絡みついた15m級の雑木群の剪定・除伐作業を完遂。高所作業車を用いた精密な空中戦と、ツル絡みに苦戦した地上戦を見事に制し、通行の安全と美しい景観を取り戻した。



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